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第2回 神経障害性歯痛
第2回 神経障害性歯痛
今回は、前回解説した 「筋・筋膜性歯痛」 の次に多くみられる 「神経障害性歯痛」を解説します。
神経障害性歯痛は、大きく2つに分けられます。
1. 発作性 (突発的に痛くなる。痛みがないときもある。)
顔や口の中に突発的に起こる瞬間的な激しい痛み
電気が走り抜ける、針で刺されるような痛み
痛みのあまりうずくまる など
特徴的な症状から、診断は簡単だと思われますが、患者さまは「歯の痛み」だと自覚してしまうため、最初に歯科を受診します。誤って、抜髄・抜歯が行われることが多い疾患です。
経験を積んでも判断に迷うことも少なくなく、実際に患者さまがいくつもの医療機関を受診することもあります。
特に、脳神経外科「三叉神経痛ではないか」といわれた患者さま、歯髄炎(しずいえん)という最強の歯痛が併発しているケース、口の中だけに痛みが出る患者さまは、専門医でさえも診断に苦慮します。
脳神経外科・神経内科・ペインクリニックとうまく連携をとり、注意深く患者さまと一緒に診断をつける努力が実を結ぶことは少なくありません。
2. 持続性 (常に痛い。)
顔や口の中の痛みが1日中続く
ピリピリ、ヒリヒリ、ジンジン、ジワジワ など 表現されることが多いです。
●帯状疱疹やその後遺症による歯痛や顔の痛み
帯状疱疹の原因は、水疱瘡と同じウイルスによって発症します。
身体に水疱が出ないと、診断に苦慮することもあります。
患者さまから「一週間くらい前、非常に痛い口内炎があった」 ことを
思い出され、診断に結びつくケースもあります。
●インプラントや親しらずの抜歯後、口の中や顔の痛みが長引く
これを 「外傷性神経障害性疼痛による歯痛」 といいます。
親知らずを抜いた後、通常1週間程度で痛みや違和感はとれますが、
場合によっては痛みが長引くこともあります。
抜歯で傷ついた神経が過敏になり、正常な痛みの情報を伝達することが
できず、歯や歯肉を軽くさわっただけでも 「ピリピリ、ビリビリ、ジンジン」と
した痛みを誘発します。
神経を抜いたり、歯肉を切開した部分にも生ずることがあります。
歯や歯肉の神経が傷ついた部位から、痛みの異常信号が脳に伝わり、
このような異常な痛みを生じることがあります。
また、アゴや顔に痛みが広がるケースもあります。
親知らずの抜歯後の場合では、1035症例のうち23人に、長期にわたる
歯痛や何かしらの症状がみられ、歯の神経を抜いて難治性の痛みが残っ
た271人のうち16人は、神経障害性歯痛であったと報告されています。
(日本口腔顔面痛学会ホームページ より)
歯の神経を処置した後に、歯がしみる、歯みがきをすると痛い、硬い物
を食べると痛いなど、患者さまが訴えると、主治医の先生は良かれと思
い歯の治療をしますが、逆に痛みが強くなることもあります。
このような場合には非歯原性歯痛を疑いましょう。